歯の疾患と蓄膿症の関係

 

「上顎洞炎(じょうがくどうえん)」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
「副鼻腔炎(ふくびくうえん)」なら上顎洞炎よりはまだ耳にしたことがあるかもしれません。

更に 、「蓄膿症(ちくのうしょう)」であれば、より多くの方が知っているかと思います。

 

副鼻腔は下のイラストのとおり、鼻腔に隣接した空洞で、

前頭洞(ぜんとうどう)

篩骨洞(しこつどう)

上顎洞(じょうがくどう)

蝶形骨洞(ちょうけういこつどう)の4つから構成されています。

 

この副鼻腔に細菌やウイルスが侵入・感染し、炎症が起きると副鼻腔炎となります。この炎症が長引くと、「慢性副鼻腔炎=蓄膿症」とよばれる状態になるのです。

 

副鼻腔炎の中でも上顎洞で炎症が発症したものを、「上顎洞炎(じょうがくどうえん)」と呼ばれます。 

 

上顎洞炎の原因には、歯に原因があるものもあり、それを歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)といいます。

あまり聞きなれない病気かと思いますが、実は、非常に発症しやすい病気です。その原因は上の奥歯と上顎洞との位置関係にあります。

レントゲン写真からも分かる通り、上の奥歯の根っこは上顎洞に非常に近接しています。そのため、虫歯や歯周病を放置していると、その細菌が容易に上顎洞に達して、上顎洞炎を引き起こしてしまうのです。

 

歯性上顎洞炎の症状としては、歯や歯茎の痛み、噛んだ時の痛み、片方の鼻が詰まる、片方の頬の痛みや違和感、頭痛や発熱などがあります。

耳鼻科に通院していてもなかなか蓄膿症が改善しないなどのお心当たりのある方は、一度歯医者で検査をしてみるのも良いでしょう。もちろん、耳鼻科との連携も必要となる場合もありますので、まずがお声がけください。